なんと、火の見櫓の主脚と石柱がアンカーで締結されています。3本ともです。
どうやら火の見櫓は置いてあるだけで、転倒しないように石柱を使って固定してあるようです。
なぜ基礎コンクリートを設置せず、わざわざ石柱を埋め込んであるのでしょうか??
現代だったら許されない工法です。

考えられる事として…

@…この火の見櫓は元々ここにはなく、移設されてきたのでは?

     火の見櫓を移設する場合、基礎部分で脚を切断する場合が普通です。
     移設先で新たに基礎コンクリートを打設しても脚の被りが浅くなり、転倒しやすくなります。
     そこで、石の補助脚を設置し、それに主脚を持たせる方法をとったのではないでしょうか?
     同じ長野市内の上松地区の火の見櫓が同じように移設設置されています。
     石柱を補助脚として使っている例として、千曲市柏王地区があります。

A…道路の嵩上げに伴い、基礎部分が埋設されたのでは?

     この場所の道路、横の水路との段差が不自然で、道路整備のさいに嵩上げをしたようにも見えます。
     もし道路が嵩上げされたとすると、火の見櫓の基礎部分が埋まっていることになります。
     石柱は明らかに後から設置したものですので、河川が近く、地盤が弱いために補強したとも考えられます。


いづれにせよ、土木工学的にたいへん不思議な構造物です。
石柱には「昭和十六年建設之」と刻まれていますが、これは火の見櫓の設置年ではないと思います。
文字がさらに埋まっているようにも見えます。

この石柱はほとんど風化していないので比較的新しいようです。
しかも江戸切り仕上げが施されており、このような簡素な火の見櫓の補助脚用としては立派すぎます。
この石柱は何かの発生材ではないでしょうか。

小柴見 おわり

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